ご挨拶
一般社団法人
日本血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師認定機構
理事長 市田 隆雄

皆さま、こんにちは。
日本血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師認定機構(Japan Professional Accreditation Board of Radiological Technologist for Angiography and Intervention:JAPIR)のHPをご覧くださり誠にありがとうございます。2024年度から理事長を拝命しました診療放射線技師(以下、技師)の市田隆雄でございます。自己紹介と、私の考えるJAPIRへの想いをお伝えさせていただきます。
私は、大阪公立大学医学部附属病院中央放射線部に所属します。私の属する施設では、医師の山田龍作名誉教授が世界初の肝臓がんへのTAE施行をされたり、技師の工藤弘明先輩が本邦初のDSA Systemを開発されたりとのPioneerがおられて、昔から血管造影・IVRへの関りがとても盛んでした。たいへん有難くも、私の入職時から研究や技術開発するべき環境が整っていました。そのお蔭様で、世界初となる〝2 Room式IVR-CT System・カテーテル操作Navigation System・FPDによるDSA System・IVR観察用平面型monitor・CT 1台装備の3 Room式IVR-CT System〟等の開発に携われ、X線機器業界と共に世界を先導する経験をさせていただきました。特にIVR-CTの効能では、肝がん患者の5年生存率の大幅な改善に寄与でき、IVR医との強い信頼関係を築ける経験にもなりました。
ところで、現在のX線機器は著しく進化しており、それを最適に操作する必要性があります。エビデンスに則る放射線技術学を追求して、最適な技師業務をせねばなりません。いずれの分野でも同様で、医療全般においてエビデンスが強く問われる時代と申せます。
JAPIRは、血管造影・IVRに就く技師の専門的知識と技術を高めて、専門技師による最新の医療技術に対応した実務で、国民の健康と福祉に貢献できることを目的に設立されました。主たる事業は、①専門技師の認定 ②専門技師の育成・教育 ③専門技師の技術向上・医療安全 ④専門技師に関する調査・情報交換 ⑤関連団体への協力・渉外、等となります。
さて、ふと振り返れば20数年前が走馬灯のごとく回想されます。
その頃、放射線治療のマネージメントも担当しており、適切な治療実施のための放射線治療専門診療放射線技師に関心をもち認定機構の運営を観察していました。血管造影・IVRでも適応するべきとの考えが湧き、幾多の方々に相談をしていました。ちょうどその時分、この分野でリーダーシップを発揮されていた江口陽一氏(当時、山形大学医学部附属病院技師長)にお話をしたところ、元々お考えを備えておられて日本放射線技術学会(JSRT)の下で俊敏に検討班が組成されることになりました。その検討班で素案の作成後、関係団体にお声をかけて協議会を立ち上げ、具体的な組織に仕上げる審議を重ねました。この間2年半ほどをかけて内容を揉むことでJAPIR設立となりました。現在、日本医学放射線学会(JRS)・日本IVR学会(JSIR)・日本循環器学会(JCS)・日本脳神経血管内治療学会(JSNET)・日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)・日本診療放射線技師会(JART)・JSRTの7団体の参画のもと運営がされています。
ここで二つの最新情報をご紹介いたします。
JRS、日本放射線科専門医会・医会(JCR)、JART、JSRTは放射線診療4団体連絡協議会を組成して2021年度から〝一枚岩〟としての活動を始めました。さまざまな活動をしていますが、代表的なものを1つ挙げますと2023年4月の第31回日本医学会総会での合同展示事業です。レントゲン博士没後100周年と銘打ってAll Japan Radiologyとして国民に最適な放射線診療の『見せる化』に臨み、血管造影・IVRもその一環に含まれました。総会関係者からの高い評価を受けたことで、2027年4月の第32回日本医学会総会でも同様事業の開催が切望されて、その実施方針が内定している現在です。
このような円滑な協力体制が切っ掛けで、2024年3月、JRS・JCR・JARTの3団体で「診療放射線技師へのタスク・シフト/シェアに関するガイドライン」を公開し、その中に血管造影・IVRを含めることも実現できました。これは、JRSからJSIRを経由してガイドライン策定への協力のご依頼をJAPIRが受けて、案を作成してJSIRに提出し、JRSにて採択がされたとの経緯です。われわれに深く関係する医政局長通知が度重なり発出されていますが、2021年9月の医政発0930第16号 医政局長通知「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について」に起因しての動きとなります。
ところで、JSRTはJRSと共になって日本ラジオロジー協会(JRC)の学術大会事業を開催しています。この4月にJRC2024の現地開催がされたばかりですが、そのテーマ名は「Leading an Era of Transformation」でした。また昨年のJRC2023のテーマ名は「Be a Game Changer in Medicine with Radiology」でした。実はこれらのテーマ名の意味合いが、私から、皆さまに問い掛けたいメッセージにまさしく合致します。血管造影・IVRにおいてのゲームチェンジャーのような存在となり、変革の時代を先導する担いをお願いしたいです。現在17年目を迎えて専門技師数は1,000名を超えましたが、そのすべての皆さまに未来を支えるご活躍を心から祈念いたします。大いなるご活躍に期待を寄せる次第でございます。
最後に…、初代理事長 江口陽一氏、二代理事長 坂本肇氏が築かれた足跡に倣いを受けての志操堅固を図りつつも、副理事長である加藤京一氏・大角真司氏との円滑なチームワークでJAPIRの青雲之志をも目指して参ります。今後ともHPを通じて最新の情報を発信いたしますので、ご着目を賜りませれば幸甚でございます。そして、引き続きの皆さまのご協力のほど何卒に宜しくお願い申し上げます。
2024年4月吉日
